縁結びの絵馬の書き方に決まりはない|例文と完了形の書き分け

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縁結びの絵馬の書き方に決まりはない|例文と完了形の書き分け

縁結びの絵馬を前にすると、ペンを持ったまま手が止まります。名前は書くのか、願い事は1つだけなのか、迷うところが多いからです。

そこで私は、神社が自分のサイトで絵馬についてどう案内しているかを調べました。決まりがあるのか、それとも無いのかを、神社の言葉で確かめたかったからです。

結論からいうと、書き方に決まりはありませんでした。よく言われている作法の多くが、神社の案内とは食い違っています。

この記事でわかること
  • 神社が「書き方に決まりはない」と案内していること
  • 片思い・復縁・結婚で変わるのは言葉の向きだけ
  • 名前・願い事の数・持ち帰りの本当のところ
目次

縁結びの絵馬の書き方に決まりはない|神社の案内で確かめた8項目

縁結びの絵馬の書き方に決まりはない|神社の案内で確かめた8項目

絵馬の書き方に決まりはありません。神様へのお願い事やお礼を自由に書いてよい、と神社が案内しています。これが出発点になります。

作法があると思って構えてしまうと、言葉が出てこなくなります。決まりが無いと分かるだけで、ずいぶん書きやすくなるはずです。

下の表は、2026年9月22日時点で神社の案内を調べた内容です。よく言われている作法と、神社が書いていることを同じ並びにしました。

迷うところよく言われること神社の案内
書き方の決まり正しい書き方がある「書き方に決まりはありません」
名前必ず書く書かなければいけないものではない
住所都道府県まで書く詳しく書くことはすすめていない
願い事の数1つに絞る1枚に複数書いても問題ない
書く面裏に書く絵のない裏面に書く
縦書き・横書き縦書きが正しいどちらでも大丈夫
筆記具筆ペンで書く油性のペンがよい
持ち帰り持ち帰ってはいけない持ち帰っても大丈夫

8項目のうち5項目で、よく言われていることと神社の案内がずれていました。特に名前・願い事の数・持ち帰りの3つは、逆のことが案内されています。

ずれている理由は、作法として定められたものではなく、参拝する人のあいだで広まった言い方だからだと考えられます。神社の側は、もっとゆるやかに構えています。

残る3項目も「そうしなければいけない」ではありません。書く面は絵のない裏面という形が自然というだけですし、油性のペンも文字が流れないようにという実用の話です。

ひとつだけ、どの案内にも共通していることがあります。ほかの人に迷惑をかけることや、誰かの不幸を願うことは書かない、という一点です。

「間違えたらどうしよう」と思わなくて大丈夫です。心を込めて書くことのほうが大事にされています。

神社本庁が示しているのは由来だけ

全国の神社をまとめる神社本庁のページには、絵馬の由来と変遷が書かれているだけで、書き方の作法は一つも出てきません。「こう書きなさい」という定めが無いということです。

書かれているのは、絵馬がもともと本物の馬を神様に献上していたことに由来する、という話です。献上された馬は神馬と呼ばれ、『常陸国風土記』や『続日本紀』に雨乞いや雨止めの祈願で馬を奉ったことが記されています。

時代が下ると、生きた馬の代わりに馬像が、さらに簡略化されて絵馬が奉納されるようになりました。(出典:神社本庁「絵馬」)

「決まりはありません」と書いている神社がある

三躰神社は、絵馬の書き方に決まりはなく、お願い事やお礼を自由に書くものだと案内しています。お願い事は詳しく書かなくても大丈夫、とも添えられています。

「縁結び祈願」の四文字だけでもよいし、「〇〇さんと結ばれますように」と文章にしてもよい、という考え方です。詳しく書かないから神様に伝わらない、ということはないと明記されています。

名前や住所も、書かなければいけないものではありません。(出典:三躰神社「絵馬の正しい書き方は?」)

絵馬の由来は本物の馬を奉ることだった

絵馬のはじまりは、神様に生きた馬を献上していたことにあります。献上された馬は神馬と呼ばれ、神様の乗り物とされてきました。

馬は輸送や農耕、軍用と人の暮らしに深く関わってきた動物です。そのつながりが、そのまま馬への信仰に結びついていったと説明されています。

平安時代の宮中には、正月7日に天皇が白馬をご覧になる白馬節会という行事がありました。陰陽五行説で白馬は聖なる「陽」の動物とされ、見ればその年の邪気を祓えると考えられていたからです。

この行事はのちに各地の神社でも、災いを除いて福を招く神事として行われるようになりました。馬が神事の中心にいた時代が長かった、ということです。

江戸時代の小絵馬がいまの形のもと

いま私たちが書いている絵馬は、庶民のあいだで広まった「小絵馬」が元になっています。個人の願いごとを書くのが特徴でした。

奈良時代には、馬の代わりに土や木で作った馬形が奉納されるようになります。後期にはさらに簡略化され、馬を木の板に描いた絵馬が納められるようになったとされています。

室町時代には「大絵馬」という大型のものが現れました。狩野派や長谷川派といった画家が描いた芸術性の高いものもあり、有力者が一族の繁栄など公共性の高い願いを込めて奉納しています。

これに対して庶民が使ったのが小絵馬です。「め」と書いた眼病よけ、「心」と書いた浮気よけのように、願いに合わせた絵柄が作られました。縁結びの絵馬に相手の名前を書くかどうかで迷う感覚も、この流れの先にあります。

縁結びの絵馬の書き方は願いの向きで3つに分かれる

縁結びの絵馬の書き方は願いの向きで3つに分かれる

縁結びの願いは、片思い・復縁・結婚の3つで、言葉の向きが変わります。決まりはないので、変えるのは形式ではなく向きだけです。

片思いは出会いから関係を育てる向き、復縁は一度切れた縁をもう一度結ぶ向き、結婚はいまある縁を確かなものにする向きです。自分がどこにいるかで、書く言葉が決まります。

片思いのときは相手より自分を主語にする

片思いのときは、相手の気持ちを動かす言い方より、自分がどうなりたいかを書くほうが書きやすくなります。相手を主語にすると、願いというより命令に近い形になってしまうからです。

「〇〇さんと自然に話せるようになりますように」「気持ちを伝える勇気が出ますように」のように、自分の行動に向けた言葉にします。結果ではなく、そこへ向かう一歩を書く形です。

相手の名前を出すかどうかも自由です。絵馬は多くの人の目に触れるので、気になるならイニシャルや下の名前だけにする、と神社の案内にも書かれています。

片思いの書き方の形
  • 主語は自分にする(相手を動かす言い方にしない)
  • 結果より、そこへ向かう一歩を書く
  • 相手の名前はイニシャルや下の名前だけでよい

復縁を願うときは切れた縁をどう結び直すかを書く

復縁を願うときは、元の関係に戻すことより、これからどう結び直したいかを書くほうが言葉になりやすいです。戻す願いは、過去のほうを向いてしまいがちだからです。

身延町の賀茂神社には、恋結びの輪を3回投げて、入らなかったときに良縁絵馬を奉納するという作法があります。外れたあとの受け皿として絵馬が置かれている形です。

この考え方は復縁の願いにもあてはまると思っています。うまくいかなかったことを抱えたまま、次にどうしたいかを書いて掛ける。それが絵馬の役割に近いです。

願いの向き別・書き出しの形
  • 片思い=自分の一歩(話せるように・伝える勇気が出るように)
  • 復縁=結び直したい形(もう一度向き合えるように)
  • 結婚=確かにしたい縁(良縁成就・来年のうちに)

3つに共通しているのは、相手を動かす言い方をしないことです。神様にお願いするのは相手の気持ちではなく、自分と相手のあいだに結ばれる縁のほうだからです。

結婚を願うときは時期を入れても入れなくてもよい

結婚を願うときは、時期を入れても入れなくても構いません。詳しく書いても、ひとことだけでもよいと神社が案内しているからです。

「良縁成就」だけでもよいですし、「来年のうちに結婚できますように」と書いても構いません。安産祈願で予定日を添える例が挙げられているので、日付を入れる形も同じ扱いです。

ただ、絵馬によっては願いの種類が決まっているものがあります。良縁成就の絵馬に別の願いを書くとちぐはぐになるので、授与所で絵柄と名前を見てから選んでください。

相手がいる方なら、二人の名前を並べて書く形もあります。川越氷川神社の縁結びの絵馬のように、馬が2頭で顔を寄せあう絵柄なら、そのまま二人の願いとして収まります。

結婚まで願うなら、参拝の時期も考えどころです。神前挙式を執り行っている神社なら、下見を兼ねて授与所まで足を運ぶという使い方もできます。

縁結びの絵馬の書き方で迷いやすい5つの疑問

縁結びの絵馬の書き方で迷いやすい5つの疑問

迷いやすいのは、名前・願い事の数・完了形・縦横・書き間違いの5つです。どれも「こうしなければいけない」という決まりはありません。

ここでは、神社の案内に沿って1つずつ整理します。迷ったときに戻ってこられるよう、短く並べました。

5つとも共通しているのは、迷いの原因が「間違えたら願いが届かないのでは」という不安にあることです。神社の案内を読むかぎり、その心配は要りません。

形を整えることに気を取られて書く手が止まるより、思っていることをそのまま書くほうが自分の願いに近づきます。私はそう思っています。

名前は書かなくても構わない

名前は、書かなければいけないものではありません。住所や年齢も同じで、書かなくても差し支えないと案内されています。

理由は、絵馬がたくさんの人の目に触れるものだからです。あまり詳しく個人情報を書くことはすすめられていません。

気になるなら、イニシャルか下の名前だけにしておけば十分です。最近は個人情報を隠すシールを用意している神社もあります。

願い事は1枚に複数書いてもよい

願い事が複数あるときは、1枚の絵馬にまとめて書いても問題ありません。「1つに絞らないと叶わない」という決まりは、神社の案内には出てきません。

ただし、願いの種類が決まっている絵馬は別です。合格祈願専用や安産祈願専用のように用途が決まっているものがあるので、選ぶときに確かめてください。

縁結び専用の絵馬を選んだなら、そこに書くのは縁にまつわる願いだけにしておくほうが自然です。分けたいなら、絵馬をもう1枚受けることもできます。

完了形で書くかどうかも自由

「〜しました」と完了形で書く方法も、「〜しますように」と願う形も、どちらでも構いません。神社が形を指定していないので、書きやすいほうで大丈夫です。

完了形がよいと言われるのは、叶った場面を思い描きやすくなるからだと考えられます。ただ、書いていて気持ちが追いつかないなら、無理に合わせることはありません。

私なら、自分が声に出して読んだときに嘘っぽく感じない言い方を選びます。書いた言葉を自分で信じられるかどうかのほうが、形より大事だと思っています。

縦書きでも横書きでも大丈夫

縦書きと横書きは、どちらでも大丈夫だと案内されています。絵馬の形や絵柄に合わせて、収まりのよいほうを選んでください。

筆記具は油性のペンがすすめられています。絵馬は雨や風に当たる場所に掛けられるので、水性だと文字が流れてしまうからです。

授与所にペンが置かれていることも多いですが、置いていない神社もあります。油性の細めのペンを1本持っていくと、その場で困りません。

書き間違えても書き直せる

書き間違えたときは、二重線で消して書き直して構いません。間違いがあるから願いが届かない、という決まりはないからです。

どうしても気になるなら、授与所でもう1枚受けることもできます。初穂料がかかるので、そこだけ確かめてから決めてください。

代理で書くのも問題ありません。本人が行けないとき、家族や友人が代わりに書いてもよいと案内されています。

書く前に授与所で見ておくこと

絵馬を受ける前に見ておきたいのは、絵馬の種類・初穂料・ペンの有無の3つです。この3つを確かめておけば、境内で立ち止まらずにすみます。

種類は、縁結び専用なのか願いごと共通なのかを見ます。専用のものがあるなら、そちらのほうが絵柄も言葉も願いに合います。

初穂料は神社ごとに違い、同じ神社でも絵柄や大きさで変わります。書き直したくなったときに2枚目を受けるかどうかの判断にも関わるので、先に見ておくと落ち着きます。

ペンは置いてある神社が多いですが、必ずあるとは限りません。油性の細めのものを1本持っていけば、混んでいる日に順番を待たずにすみます。

ほかの人の迷惑になることだけは書かない、という一点だけ守れば大丈夫です。

縁結びの絵馬は神社ごとに形も掛ける場所も違う

縁結びの絵馬は神社ごとに形も掛ける場所も違う

縁結びの絵馬は、神社ごとに絵柄も形も掛ける場所も違います。書き方より先に、どの絵馬を受けるかで雰囲気が決まります。

現代の絵馬は絵柄も形も自由で、デザイン性の高いものや行事の記念のものもあります。お土産として選ばれることもある、と神社が書いているほどです。

川越氷川神社は絵馬トンネルに結ぶ

川越氷川神社の縁結びの絵馬は、境内にある「絵馬トンネル」に結ばれています。たくさんの絵馬が並んで通路のようになっている場所です。

表の絵は、イラストレーターの大塚いちおさんが奉納したもので、仲よしの馬が幸せそうに顔を寄せあう場面が描かれています。絵馬の由来である馬が、そのまま縁結びの形になっています。

この神社は「むすび」の語源も説明しています。もとは「産霊(ムス・ヒ)」と書き、新たなものを生み出す目に見えない力のことだと案内されています。

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